メディアプランが狙うべき層に届くように、オーディエンスのデモグラフィックをどう分析すべきか、とお考えなら、答えは少し耳が痛いものです。デモグラフィックからわかるのは、どこで買うかであって、なぜ誰かが耳を傾けてくれるかはほとんどわかりません。成果を出すプランは、人々が何を考え、何を恐れ、何を語っているかから出発し、年齢や収入はあくまで買付けの対象を絞るために使います。AIを使えば、それを大規模に行えます。ただし、判断力のある人が舵を握っていることが条件です。
最新の例はスペインから届きました。保険会社Santalucíaのマーケティングディレクター、Laia PruneraはReason Whyのインタビューで、同社が年次のコンペをやめ、ブランドプラットフォームをOriol Villarに直接任せ、長期的にブランドを築くと決めた経緯を語っています。純粋想起は5年間で45%から62%に上昇しました。Pruneraによると、競合の投資額は最大で8倍です。
8倍の投資があれば、GRPはとてつもなく積み上がります。投下量で勝てないなら、理解で勝つしかありません。Santalucíaが違いを見いだしたのは、年齢の区分ではなく、サービス、顧客に寄り添う姿勢、そして関係性の感情的な部分でした。メディアを計画する人にとって、教訓は言うまでもありません。
メディアプランニングで、デモグラフィックだけでは足りなくなったのはなぜですか?
互いにまったく似ていない大勢の人を、ひとまとめに描いてしまうからです。「都市部の女性、35〜54歳、中上位所得層」には、初めての子どもを産んだばかりの女性も、親の介護をしている女性も、自分で事業を立ち上げようとしている女性も含まれます。スプレッドシートでは同じ行にいますが、悩みも、日々の習慣も、見ている画面も、共通していません。
デモグラフィックによるターゲティングは、もはや優位にもなりません。どの広告主も、同じプラットフォームで、まったく同じオーディエンスを数クリックで買えます。自社のプランと競合のプランを分けるものが予算の配分だけなら、実際には分かれていないも同然です。
さらに、データの分断があります。パネルはこう言い、プラットフォームのデータは別のことを言い、クライアントのCRMはまた別、ソーシャルリスニングはさらに別のことを言う。それぞれが部分的な真実しか語らず、プランナーは、互いに会話しないシステム同士の通訳になってしまいます。そこで何週間もが消え、さらに悪いことに、人々が本当に何を気にかけているのかという筋道を見失います。
本当の問題:データは十分にあるのに、理解が足りない
データ品質理論は、これを単純な考え方に要約します。データが良いのは、下さなければならない意思決定に役立つときです。より正確なときでも、量が多いときでもありません。意思決定が、どのメッセージなら人がスクロールの手を止めるかということなら、完璧に測定された年齢は、質の低いデータです。
プランニングでは、精度と有用性を取り違えがちです。ターゲットに対するリーチは小数点まで測るのに、広告が表示されたとき、そのターゲットが何を考えているかはほとんど知りません。エンゲージメントがなかなか上がらないのはそのためです。それは数字からではなく、理解から生まれるものだからです。
データ源が分断されていると、その影響は増幅します。各チームは自分のデータを最適化し、肝心の問いを誰も引き受けません。この人にいま何が起きていて、そのときブランドはどうすれば役に立てるのか、という問いです。
葛藤を軸にしたメディアプランニングとは何ですか?
葛藤とは、人が望むことと、それを妨げているものとの衝突です。それは特性ではなく、いままさに起きている問題であり、人々はソーシャルメディア、フォーラム、レビュー、コメント欄でそれを語っています。このアプローチでは、ペルソナとは、年齢が違っても同じ葛藤を共有する人々のグループです。
格安ジムのチェーンを思い浮かべてください。従来のブリーフなら「18〜34歳、都市部」となるでしょう。ところが、オーディエンスが実際に投稿している内容を読むと、たとえば2つのグループが見えてくるかもしれません。トレーニングを始めたいものの、マシンの使い方がわからず恥ずかしい人たち。そして、ピーク時間帯にジムのフロアが混み合っていることに不満を漏らす常連たちです。年齢層は同じでも、打つべき手は正反対です。前者には安心感のあるチュートリアル型のコンテンツ、後者には、意思決定の瞬間に合わせた営業時間と混雑状況のメッセージが効きます。
| 基準 | デモグラフィック型のプラン | 葛藤を軸にしたプラン |
|---|---|---|
| プランニングの単位 | 年齢、性別、収入、地域でターゲットを設定 | 共通の葛藤でまとめたペルソナ |
| 主なデータ源 | パネルと、プラットフォームの申告データ | オーディエンスが発信している会話とコンテンツ |
| 答える問い | 誰に向けて買うか? | なぜ注目してくれるのか? |
| チャネルの選び方 | 親和性と、コンタクト単価 | 葛藤が現れる場所とタイミング |
| メッセージ | ターゲット全体に向けた1つの汎用メッセージ | 葛藤ごとに1つ、それぞれ固有のトーンで |
| 効果測定 | リーチとフリークエンシー | リーチに加えて、葛藤ごとの反応 |
| 主なリスク | 競合とまったく同じプランになること | 検証しなければ、葛藤を読み違えること |
AIを使って葛藤を軸にメディアプランを作る手順(ステップ別)
いまのプランを捨てる必要はありません。順番を変えるだけです。まず理解し、買うのはその後です。
- ブランドだけでなく、カテゴリーを定義する。クライアントが解決している問題について、競合をめぐるものも含めて会話を集めます。葛藤は、ブランド自身のチャネルの外にあることがほとんどです。
- コンテンツをペルソナと葛藤にクラスタリングする。AIが手作業の数週間分を省いてくれるのは、ここです。たとえばDefy Monitorは、オーディエンスのコンテンツをペルソナと葛藤に自動でクラスタリングするため、デモグラフィックの概要資料ではなく、実際の会話からプランを立てられます。
- すべての葛藤を、具体例に照らして確認する。その背後にある投稿を読みます。具体的な事例で裏付けられない葛藤は、資料の上でどれほどよく見えても、捨てましょう。
- 会話の量と適合度で優先順位をつける。会話が一定の規模に達していて、ブランドが説得力をもって解決できる葛藤を、2つか3つに絞ります。
- それぞれの葛藤を、チャネル、タイミング、メッセージに落とし込む。その問題はどこで表面化し、1日のいつ、1年のいつ起きるのかを考えます。それが買付けの文脈になります。
- デモグラフィックは最後に使う。ここで初めて、年齢、地域、収入で絞り込みます。合わない相手に費用を払わないためです。
- 葛藤ごとに反応を測定する。メッセージのラインごとに結果を分け、どの葛藤が最も人を動かすかを把握し、次の配信で予算を再配分します。
リスニングから分析まで、このワークフローが1つの環境にどう収まるかを知りたい方は、Defyプラットフォームをご覧ください。
クライアントとの会話は、どう変わりますか?
積み上がる知見の質が変わります。Pruneraは、立て続けのコンペに反対する論拠として、Reason Whyでこの点を語っています。ブランドを築くには、知識、コード、学び、信頼が必要で、それらは継続的な関係があって初めて得られる、というのです。
葛藤マップは、まさにそうした積み重なる知見です。配信のたびに、どの葛藤が反応し、どれが反応しなかったかがわかり、次のプランはより研ぎ澄まされます。デモグラフィック型のプランは、どのコンペでも真似されます。オーディエンスへの深い理解は、真似できません。
打ち合わせの空気も変わります。もうパーセンテージを使って予算配分を弁護するのではなく、人々が自分の言葉で何を語っているかを見せ、各ラインがそこにある理由を説明します。実際の会話に反論するのは、仮説に反論するよりずっと難しいものです。
AIに任せてはいけないことは何ですか?
AIは、何千もの会話をクラスタリングし、パターンを見つけるのがとても得意です。一方で、ブランドにとって何が重要かを決めるのは苦手です。次の3つの限界を心に留めておきましょう。
- 投稿する人が全員とは限らない。ソーシャル上の会話は、声の大きい人を過大に代表します。大きな予算の配分を動かす前に、葛藤をクライアント自身のデータと照合してください。
- エビデンスのない葛藤は、ただの意見。どの結論についても、必ず裏付けとなる投稿を見せてもらいましょう。
- 判断は人間のもの。ブランドがどの葛藤を解決できるのか、どんなトーンで臨むのかを選ぶのは、戦略の仕事です。仕分けはAIに任せ、判断はチームが握り続けます。
Santalucíaが認知を17ポイント伸ばせたのは、誰よりも多くのデータを持っていたからではありません。マーケティングディレクターによれば、ブランドの真実を見つけ、それを長く貫いたからです。その部分は自動化できません。自動化できるのは、その部分に十分な時間をかけることを妨げているすべてのことです。



