Z世代の消費者に届くにはどうすればよいのでしょうか。まず、ひとつのオーディエンスとして扱うのをやめることです。「Z世代」は、10代から30歳目前の人までを含む生まれ年による区分であり、クリエイティブチームが活用できる情報はほとんど含まれていません。この世代に届くには、その中にある具体的なコミュニティと葛藤を見つけ出し、各コミュニティがすでに自ら選んでいるクリエイターやフォーマットにメッセージを託すことです。
エージェンシーの関心がどこへ向かっているかを見てみましょう。DigidayのMedia Agency Report 2026では、回答者の75%がこの1年でクリエイターマーケティングの重要性が高まったと答え、エージェンシーがクリエイター施策の目的として最も多く挙げたのはコミュニティ構築でした。その10日後には、Digidayが報じたところによると、DentsuがP&G Studiosと組んで、ブランドのNative向けにスマートフォン視聴を前提とした全55話のソープドラマを制作しました。どちらの記事も年齢区分には頼っていません。どちらも、コミュニティと「自ら選んで見てもらうこと」に軸足を置いています。
なぜ「Z世代」はターゲットオーディエンスとして機能しないのでしょうか?
それがデモグラフィックだからです。デモグラフィックは人の属性を表しても、その人を理解させてはくれません。スニーカーのために貯金している16歳と、自動車ローンを返済中の28歳は、ラベルは同じでも動機はまったく違います。
年齢区分がなくならないのは、それを基準に広告枠を買いやすく、スライドにも載せやすいからです。それでも機能しないのは、エンゲージメントが「年齢が合っていること」からは生まれないからです。エンゲージメントは、自分の生活の具体的な何かを捉えたコンテンツから生まれます。たとえば、ちょっとした不満、日々の習慣、自分のいるネットの片隅でしか通じないジョークなどです。
「Z世代は本物志向」というスライドは、その最たる症状です。本物志向でない人などいません。誰にでも当てはまる真実では、誰のためのブリーフにもなりません。
クリエイターブームは、Z世代についてエージェンシーに何を伝えているのでしょうか?
Digidayのレポートは、これらをZ世代という切り口では語っていません。そこにこそ意味があります。業界は生まれ年ではなく、コミュニティとフォーマットを軸に動き始めているのです。
- AerieのCMO、Stacey McCormickはDigidayに対し、「クリエイターマーケティングは、ますますコミュニティ主導になっています」と語っています。
- Go Fish DigitalのDavid Dweckは2つの役割を明確に分け、「リーチのためにはインフルエンサーを、コンテンツ制作のためにはクリエイターを見ています」と述べています。
- 同レポートでは、クリエイター施策の目的として、有料での拡散やブランデッドコンテンツを抑え、コミュニティ構築がトップに挙がっています。
ひとつ注意点があります。Digidayのエージェンシー調査の対象は30人の専門家なので、その割合は全体像ではなく傾向として読むべきです。
Dentsuの動きも同じ方向を指しています。Digidayによれば、同社がエンターテインメントに注力する背景には、オーディエンスが広告を無視することに長けてきたため、ブランドには人々が自ら選んで見るコンテンツが必要だという考えがあります。記事では、いまやフィードにクリエイター制作の番組、マイクロドラマ、ビデオポッドキャスト、YouTubeネイティブのシリーズが流れている様子が描かれています。
人々が自ら選んで見るコンテンツは、誰が、なぜ選んでいるのかを把握していて初めて機能します。それはデモグラフィックではなく、ペルソナの問題です。
なぜZ世代向けのターゲティングは空振りし続けるのでしょうか?
エンゲージメントは数字からではなく、理解から生まれます。それなのに、Z世代向けの計画の多くは数字から始まります。フォロワー数、プラットフォームのリーチ、年齢・性別の構成比、どこかから借りてきた集中力の持続時間に関する統計などです。データはツールごとに散らばり、そのどれもがクリエイティブ上の問いに答えるために集められたものではないため、理解には一向にたどり着きません。
データ品質の理論には、シンプルな基準があります。データの良し悪しは、量や精度ではなく、下そうとしている意思決定に適しているかどうかで決まります。生まれ年による区分は正確で網羅的ですが、ブリーフを書くうえではほとんど役に立ちません。一方、ある商品が値段に見合うかどうかを若い買い物客たちが議論している数百件の実際のコメントは、雑多であっても目的には合っています。そこから葛藤、言葉づかい、購入へのためらいがわかるからです。
ほとんどのエージェンシーは、前者のデータにおぼれ、後者のデータに飢えています。
ペルソナクラスターと年齢セグメントの違いは何でしょうか?
| 観点 | 年齢ベースのセグメント | 会話ベースのペルソナクラスター |
|---|---|---|
| 元になるデータ | パネルデータとプラットフォームのデモグラフィック | 公開投稿、コメント、レビュー、クリエイターのコンテンツ |
| わかること | その人が誰か | 何を大切にし、何について議論し、何を買うか |
| ブリーフの記述 | 「女性18~24歳、都市部在住、デジタルネイティブ」 | 「予算内で高見えしたい、有料レビューを信用しない学生」 |
| クリエイターの選定 | 年齢層内でのフォロワー数 | そのクラスターがすでに耳を傾けている相手 |
| 更新頻度 | 年1回、それすらないことも | 会話の変化に合わせて毎月 |
| 主なリスク | ありきたりで代わり映えしないクリエイティブ | 実際の投稿に裏付けられていない、AIがでっち上げたクラスター |
最後の行が重要です。ペルソナクラスタリングがセグメンテーションより優れているといえるのは、すべてのクラスターを実際の人々の発言までたどれる場合に限られます。
実際の会話からZ世代のペルソナクラスターをどう作るのでしょうか?
- パネルではなく、会話を集める。カテゴリー、クライアント、その競合をめぐる公開投稿、コメント、レビューに加え、そのオーディエンスがフォローしているクリエイターも収集します。
- 発言と行動でクラスタリングする。共通する葛藤、言葉づかい、習慣でコンテンツをグループ化します。年齢は後からフィルターとして使えますが、最初の切り口にすべきではありません。
- 各クラスターを葛藤で名付ける。「予算は限られていても、それを見せたくない新社会人」ならブリーフになります。「Z世代女性」ではブリーフになりません。
- すべてのクラスターを裏付ける。ペルソナの背後にある実際の投稿を示せないなら、それはきれいなフォントで書かれた推測にすぎません。捨てるか、根拠を探しに行きましょう。
- 各クラスターにクリエイターとフォーマットを対応させる。各グループがすでに誰を見ているのか、そしてショート動画シリーズ、ビデオポッドキャスト、クリエイター制作の番組など、どのフォーマットで見ているのかを把握します。
- コミュニティのシグナルを測る。リーチと併せて、保存数、シェア数、中身のあるコメントを追跡します。これらは、単に見られたかどうかではなく、理解されたかどうかを教えてくれます。
- 毎月更新する。コミュニティは年1回のセグメンテーション調査よりも速く動きます。クラスタリングをやり直し、静かになったペルソナは退役させましょう。
より良いZ世代向けブリーフとはどのようなものでしょうか?
25人規模の独立系エージェンシーが、中堅ヘアケアブランドに提案する場面を想像してください。従来のブリーフはこうです。「ターゲットはZ世代、18~26歳。TikTokとInstagramで展開し、トーンはリアルで遊び心のあるもの」。コンペに参加するどのエージェンシーも同じことを書くでしょう。
クラスタリングしたブリーフは違います。カテゴリーの会話を動かしているのは3つのグループです。大手ブランドに無視されていると感じているカーリーヘアのコミュニティ。プチプラの代替品(デュープ)と高級品を比べる学生。ワークアウト後も崩れない髪を求めるジム通いの人々。それぞれに独自のクリエイター、語彙、購入へのためらいがあります。
このブリーフなら、クリエイティブチームには進むべき方向が、メディアチームには3つの異なるバイイングが、そしてクライアントには、話をちゃんと聞いてくれたと信じる理由が生まれます。
これを手作業で行えば、ストラテジストが何日もかかります。Defyプラットフォームはオーディエンスのコンテンツを自動でペルソナと葛藤にクラスタリングするので、プランナーはデモグラフィックではなく実際の会話から始められ、判断が求められる部分、つまりどの葛藤を軸にアイデアを組み立てるかの選択に時間を使えます。



